『外資系企業はとにかく成果に厳しい』
『外資系企業は給料が高い』
『外資系企業は評価が悪ければすぐに解雇される』
これらの噂は間違いではありません。
一般的な日系企業と比べると非常にシビアな世界です。
外資コンサルや外銀等は能力が無ければバッサリ切られることも多いです。『外資系企業』の極端なイメージはこれらの業界の印象が強いのでしょう。
安定志向はさようなら。年功序列や終身雇用といった概念も…
あるんです。
貪欲にキャリアアップを求める社員が多い外資系企業ですが、社風は様々。
今回は、私が20代後半から約6年勤務した『外資系食品メーカー』でのキャリアを振り返っていきます。
労働組合から窓際社員など、”日本的な”光景が見られる外資系企業を知っていますか?
外資系メーカーへの就職を希望する学生や転職活動中の皆様にとって『外資系』のイメージを変えるエピソードになるかもしれません。
Contents
はじめに:外資系企業とは
そもそも外資系企業とは国外の資本が入っている企業を指します。100%外国資本のメーカーだと、マイクロソフトやデュポン等が有名です。
アメリカの企業は実績に対して特にシビアです。また、日本に進出して間もない外資系企業への就職を希望する場合、日本での業績が悪化すると、拠点丸ごと撤退する可能性もあると覚悟しておきましょう。本社や他の海外拠点に移る優秀な人材も稀にいますが、この場合、基本的に社員は全員リストラになります。
とはいえ、日本に進出して一定年数が経過し、安定的な業績をキープする外資系メーカーも増えてきました。
日本コカ・コーラ(1958〜)やジョンソン・エンド・ジョンソン(1978〜)、ダノン・ジャパン(1980〜)、BASFジャパン(1949〜)等は日本に進出して安定した基盤を築いています。
※カッコ内は日本法人が設立した年(前身含む)
日本の消費者にも完全に受け入れられ、ブランドを確立した外資系メーカーも少なくないですね。
中には社風まで『日本化』してしまったメーカーも…?
安定志向?日系化してしまった外資系メーカー
日本の労働基準法は外資系企業にも適用される
そもそも、外資系企業といえども、国内で企業活動をする以上、労働基準法が適用されます。容易に解雇することはできません。
労働組合が活発で、のびのびと働ける勤務環境が整っているメーカーもあります。
私が働いていた外資系食品メーカーでも、いわゆる出世コースから外れ、簡単な書類仕事ばかり行う窓際管理職も一定数存在していました。
評価を高めて高年棒を手にする社員もいる一方で、年棒を極限まで下げられながらも居座る社員もいたのです。
(それでも一般的な日系中小メーカーよりは高年収ですが…)
『外資系企業はすぐクビにする』
こういった噂とは逆行していますね。
この点について、外資系メーカーの『退職理由』に焦点を当てながら深掘りしていきます。
外資系メーカーの退職王道パターン
『職務遂行能力不足』という魔法の言葉
少なくとも私が所属していた外資系食品メーカーでは、よほどの事がない限り『解雇』されることはありませんでした。
ただし、実績評価は非常にシビアです。
外資系では、年棒制の企業が多いです。半期(四半期)毎に面談し、年度末に査定され、翌年の年棒が決まります。プロ野球選手の契約更改の様なイメージで結構です。ちなみに残業代はしっかり出ました。
日系メーカーでは、目標未達でも過程を評価してくれたり、ノルマ未達だった場合でも惜しかった場合は、”中の下”程度の評価に収まることが多いでしょう。
しかし、外資系メーカーでは、年棒1,000万円の契約をした人が、目標未達で年棒300万円ダウンということもあります。
外資系メーカーではとにかく『目標達成』が全てであり、ポジションや職務内容が細かく定められています。
例えば『自分のテーマではないが、同僚のヘルプに入り、大きな成果を上げた』ような場合、評価には全く反映されません。
いくら全体に貢献しようとも、自分の目標に少しでも満たなければ『職務遂行能力不足』とみなされ、最低ランクに近い評価になります。
年棒アップできなければ去る人が多いが…
基本的に外資系ではキャリアアップや会社からの評価に貪欲な人が多いです。
高評価を得られず、年棒アップを勝ち取れなかった場合、多くの人は
『ここは私の居場所じゃない』
とさっさとキャリアチェンジします。
解雇される人より、自分から見切りをつけて去っていくのです。
言い換えれば、最低ランクの年棒を貰いながら居座ることもできるのです。
こういう人は、業績悪化など、有事の際には真っ先に切られますが、業績が絶好調など、特に人員を削減する必要がない場合、そのまま居座り続けることも可能です。
キャリアアップに燃えている人間に囲まれながら、最低評価で居座り続けるなんて普通の神経では無理ですよ。最低ランクを付けられた人間の多くは、そのまま契約を更新せずに自己都合退職します。
しかし、『全てを諦めた人』が解雇されずに淡々と居座るパターンもあり得るのです。日系メーカーでも散見されますね。
外資系メーカーに転職して良い人とは
明確なキャリアプランがある
コンサルや金融業界と比べると、外資系メーカーでは、人を大切にし、チームワークを重要視することが多いです。
とはいえ、一般的な日系メーカーと比べると非常にシビアな世界です。
ネームバリューや、『大企業だから安定していそう』といった検討違いの理由で入社した場合、入社後に痛い目に遭うでしょう。
既述の通り、外資系ではポジションから職務内容まで細かく決められています。実績により年収も大きく変動します。
- 年収は希望以上か
- 職務内容は自分のスキル、志望にマッチしているか
- 3年後、5年後のキャリアプランが描ける転職か
日系企業でも同じですが、これらの点をより厳しく追及すべきです。
特にキャリアプランについては明確にしておきましょう。
長く勤めるかどうか…という話ではありません。
この企業に入社することで、
- どのようなスキルが身につくか
- そのスキルは今後のキャリアに活かせるか
- どのようなキャリア展開が考えられるか(転職含む)
といった点です。
堅実なキャリアを築ていきたいのであれば、大人しく日系メーカーを選びましょう。
『来年は日本支店が無くなります』
なんてリスクもありますからね!
おわりに:極端な認識は可能性を狭める
外資系が優しい世界と言うつもりはありません。非常にシビアな世界が待っています。
しかし、外資系にも色んな姿があります。
ドライな社風の外資系、情に熱い外資系、典型的な日系メーカーのような外資系…企業ごとに全く違うカラーです。
にも関わらず、”外資系はシビアで日系は堅実”という極端なイメージで就活に望んでいる人が非常に多いのです。
外資系、日系という括りではなく、就職活動で重要なのは1社毎に企業研究することです。
私は、外資系企業で数年修行し、今は日系の大手メーカーでマネージャーとして働いています。当時経験したグローバルな業務や、シビアで自由度の大きな業務経験は、今のキャリアに確実に活きています。
とにかく”キャラが濃い”企業が多い外資系メーカー。
企業選択の1つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
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