転職市場は年々活発化し、転職エージェントを使った転職活動はもはや当たり前となりました。
しかし、ハローワークや転職サイト(リクナビNEXTやマイナビ転職など)と比べ、転職エージェントの利用を足踏みしてしまう人が少なくありません。ハードルが高く感じてしまうようです。
求人紹介サービスの登録に行って、これまでの職歴と希望の仕事を面談で話し合い、求人を紹介してもらう…ハローワークと全く変わらないプロセスであるにも関わらずです。
あまりにもったいない!
大手から中小まで、中途採用に転職エージェントを利用する企業は増え続けています。
コネやヘッドハンティングと言った例外を除き、『一般の』転職希望者がキャリアアップを目指す上で、転職エージェントは必須のサービスです。
厚労省の職業紹介事業報告を見ると、ハローワーク等の無料職業紹介事業の求人数(平成26年度)が約75万件であるのに対し、転職エージェント等、人材紹介を通し対価を得る有料職業紹介事業の求人数(同年)は約437万件です。
すなわち、転職サイトやエージェントを使わないと、多くの優良企業への転職チャンスを逃すことになるのです。
しかし、残念ながら、転職エージェントの使い方を間違えている人が多すぎるのです。
ほとんどの転職希望者、特に初めて転職活動をしている人は、エージェントを『自動求人紹介機』や『企業に自分を売り込んでくれる神様』だと大きな勘違いをしているのです。
我々と転職エージェントはお互いが『顧客』であり『商品』なのです。
あくまでもビジネス関係であることを忘れてはいけません。
この考えがハードルを高めている理由かもしれませんが、『転職エージェントの正しい活用法』を把握しておけば、全く怖くありませんよ。
今回は、理想のキャリアアップを果たすための、転職エージェントととの上手な付き合い方を解説していきます。
Contents
企業が『非公開求人』を出す理由
転職前に知らないと大損!企業の中途採用スケジュールの全容を教えますの記事にも書いたように、求人媒体は大きく分けて、
- 自社の採用ページ
- 転職サイト(公開求人)
- ハローワーク
- 転職サイト(非公開求人)
- 転職エージェント(非公開求人)
となります。
1〜3はいわゆる公開求人、すなわち誰でも応募できる求人です。仮に募集要項を満たしていなくても応募できてしまうため、企業は求める人材にマッチしない大量の応募者を選別しなくてはいけません。そうなると多額の費用と時間がかかる上に、採用の精度も下がります。
このような状態にならないために、企業は募集要項を満たす人材だけに求人が届くシステムを利用します。そのような求人が4、5のサービスを利用した非公開求人です。
4.の転職サイトでは公開求人と非公開求人の両者を扱っています。転職サイトには『化学業界勤務』『3年以上の法人営業経験あり』『TOEIC700以上』といったスキルや職歴を登録します。このような情報を元に、企業から該当の人材だけに非公開求人が送られてくることがあります。
転職活動中、リクナビNEXTに関しては大手の非公開求人も多い印象を抱きました。ただし『化学メーカー勤務経験ありの人全員』に送られるなど、転職エージェントよりも基準が甘い非公開求人も多かったです。
5.転職エージェントは『人』を介した人材紹介サービスです。
ハローワークでは『誰でも求人を閲覧できるが、条件に満たなければ応募できない』のに対し、転職エージェントでは『条件を満たす転職希望者にしか求人を公開しない』という違いがあります。
特に転職エージェントは人材紹介のプロです。大手企業は基本的に転職エージェント経由の非公開求人で中途採用を実施すると覚えておきましょう。
それでは、転職エージェントの使い方について詳しく解説していきます。
転職エージェントの登録プロセス
- 申し込み
インターネット経由で各エージェントの利用登録を行います。氏名や住所、勤務先といった個人情報、そして希望業界や希望年収などの条件を入力します。 - 面談
数日以内に、登録した電話番号やメールアドレスに担当の転職エージェントから連絡がきます。ここでは最初の面談日程を決めることになります。
面談は基本的に土日でも受け付けており、地方に住んでいる場合は、電話面談に応じてくれることも多いです。技術系職種の場合、工場や研究所が都会から遠くにあることも多いですが、柔軟に対応してくれます。
面談は約1時間です。希望業界や転職理由、保有スキル等を担当エージェントと共有します。 - 履歴書と職務経歴書の作成
初めての転職では、ゼロから職務履歴書を作成します。
私はリクナビNEXTのテンプレートを利用していましたが、上手に書けない人はパーソルキャリア社のdodaのサービスを活用しましょう。面談練習や書類の書き方など、転職者への無料セミナーが充実しており、他社との差別化を図っています。☞ リクナビNEXT(転職、求人情報ならリクルートの転職サイト【リクナビNEXT】)
☞ dodaエージェントサービス(転職サイトに掲載されていない【非公開求人】の紹介を受ける方法は?) - 求人の選別と書類選考
利用登録と書類作成が終われば、エージェントからどんどん求人が送られてきます。
この時の転職エージェントとのコミュニケーションが転職活動の成否を分けるのです。非常に重要なので、次の章で詳しく解説します。
自分のスキルや希望とマッチする求人に応募し、選考に通過すると…あとはあなたの実力次第です。
転職エージェントとの信頼関係
お互いが商品であり顧客でもある
前の章で、『転職エージェントは電話面談も可能』と書きました。
無理に面談を申し込む必要はありませんが、”都合のつく限り”電話ではなく対面でコンサルティングを受けるべきです。
転職エージェントは既述の通り『人』とのやり取りです。担当と素早く情報共有できるように、良好な人間関係を築くことが重要です。
転職エージェントは企業の要求を満たす人間を紹介する対価として仲介料を得ています。
『転職エージェントは実績を出すために、どこでも良いから転職させたがる』
なんて噂も聞きますが、そんなエージェントは二流以下ですよ。
求人にマッチしない転職者を企業に送り込んだところで、一時的にマージンを稼げるかもしれません。
しかし、仲介料の支払いに『転職後、一定期間の勤務実績』が必要な契約を結ぶこともあります。
転職者がすぐに辞めてしまえば、仲介料が得られないこともありますし、何より『企業からの信頼』という仲介業の生命線を失うことになります。
求人にマッチしない人材を無理やり企業にねじ込むことは、転職エージェントにとってデメリットでしかないのです。
転職エージェントは転職者という『商品』の中から、求人にマッチする人材を選別します。
しかし、転職者も選ばれるだけの立場ではありません。
『紹介される求人がイマイチだな…』
『この人、なんか話が噛み合わないな…』
そんな時は、担当エージェントを変更することも可能です。
転職活動がなかなか上手くいかない時、サービス元から、
『担当との相性はいかがでしょうか?担当の変更も可能ですので、希望があればお申し付けください。』
というメールが届くこともあります。
この場合、担当の社内評価は下がります。
驚く人も多いですが、向こうもシビアに仕事をしているのです。
ただし、連絡も取らず、求人を無視し続けていると、
『残念ながら、ご紹介できる求人が無いため、エージェント契約を打ち切らせて頂きます』
と言われることもあります。
こうなると転職活動は一気に劣勢ですね。
それでは、転職エージェントと良好な関係を築く簡単な方法を解説していきます。
転職エージェントとの関係に必要なのは『ほうれんそう』だけ
- 定期的に連絡すること
- 意思表示を明確に行うこと
この2つだけで、転職エージェントと良好な関係を築けます。
− 求人を無視し続けると契約を切られるかもしれない。
− では、やる気を見せるために、興味がなくても先行を受けるべきか。
それでは、良い転職活動は出来ませんね。
大切なのは、エージェントにやる気を見せることではなく、エージェントに『理解』してもらうことです。
転職エージェントは次々と求人を紹介します。
しかし、最初は相互理解が足りず、ミスマッチな求人が多く送られてくるかもしれません。
そういう時は、
『有機化学系の研究職の求人が多いですが、化学工学が活用できるプラントエンジニアの求人を積極的にご紹介頂けますと幸いです』
『ABC製薬の求人は魅力的ですが、薬事申請の経験が必須という条件に見合わないので辞退いたします。』
『法人営業へのキャリアチェンジを希望しています。私の職歴でも選考を受けられる求人は無いでしょうか。』
の様に、自分の希望を具体的に伝え続けることが重要なのです。
こういった連絡を密に取っておけば、仮に転職活動が長続きしても、転職エージェントから契約を打ち切られることはありません。
『ほうれんそう(報連相)』を徹底し、転職エージェントからの理解を深めることで、良い求人が入った場合に優先的に紹介してくれることもあります。
『先日打ち合わせをした企業からの求人が、Aruitさんの希望にぴったりなんです!今すぐメールで送りますので是非確認してください!』
2社目の企業はこうして決まりました。
私が担当と良好な関係を築くことで素晴らしい結果が得られた体験談です。
おわりに
転職エージェントは決してハードルが高い存在ではありません。
キャリアアップのための心強い味方です。
ただ、あくまでも『対等』な『ビジネス相手』だということを忘れないで下さい。
彼らの仕事が何なのか理解した上で、転職活動で後悔しないためにも、転職エージェントを思い切り利用してやりましょう。
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