三菱電気の違法残業事件からわかること:不毛な『ホワイト企業探し』はもう辞めよう

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電通が女性新入社員を過労自殺に追い込んだ事件が静まらないまま、今度は大手電気メーカー『三菱電気』が社員に違法な長時間残業をさせていたことがわかりました。
同社情報技術研究所に勤めていた研究職男性は、過労が原因で精神疾患となり、労基署により労災認定されています。
男性は月80時間と言われる過労死ラインを超える月160時間の残業を強いられ、適応障害と認定された後に解雇されています。
この件により、三菱電機、および当時の上司が書類送検されています。

大手日系メーカー、研究職…なぜか『ホワイト企業』『ホワイト職種』と学生間で噂されることが多い業界、職種です。
私も新卒で就活していた頃は2chのホワイト企業ランキングを良く見ていました。

『ユルく働きたいなら商社とかやめとけ』

『日系メーカー技術系でまったりが勝ち組』

『A社は営業は地獄だけど研究職はホワイト』

2chや転職クチコミサイトでは、”中の人”でも何でもない人が書いた情報が氾濫しています。

『ホワイト企業』探しにやっきになる人も少なくありません。
それだけ”ブラック企業”という言葉が浸透し、労働環境や『働き方』に関する思想が変わってきたのでしょう。

しかし…

ホワイト企業なんて存在しない!

これが、日本の現実です。

日本企業の過重労働がどんどん浮き彫りになってきている今、企業探しの方法についてもう一度考えてみましょう。

三菱電機 書類送検までの流れ

1月上旬の産経新聞では以下のように報道されています。

できごと
20134男性が入社
20141論文作成等で業務量増加 
 2休日が月2日に
残業量増加 
 4男性が適応障害発症 
20164男性が労基署に労災請求 
 6男性が解雇
 11労基署が労災認定
20171神奈川労働局が書類送検

 

男性によると、直属の上司が「残業は40時間未満でつけろ」「不自然にならないようにしろ」などと勤務時間の過少申告を指示されていたという。
三菱電機は「真摯(しんし)に受け止めており、関係者に心配をかけたことをおわびします。適切な労働時間の管理を徹底したい」とコメントした。

出典:産経新聞(17.1.11)

36協定を結んでいる企業の場合、残業時間の延長限度は月45時間、年間360時間となります。
企業毎に異なりますが、時間外労働が30〜40時間を超えるとメンタルケアのカウンセリングが必須となったり、労基署からの監視、指導が入る場合があります。

このため、『残業は40時間以上つけるな!』と指導する企業もあるようです。

なぜか…?

金を払いたくないからです。

めんどくさいからです。

労務費のアップや、労基署等の対応が嫌だから。
これだけの理由で社員が搾取されているわけです…。

反面、残業代はしっかり払い、あるいはそもそも残業自体が少ない『適切な業務量』で回している企業も沢山あります。
こういう評判が出ると、就活生や転職希望者が殺到します。

では、就活の軸は『ホワイト企業であること』でいいのか…

実は非常に危険な考え方です。

全ての会社が『ブラック企業』になる可能性がある

あなたの『ブラック企業』の基準は?

やりたい仕事や実現したいことなど、ポジティブな考えで就活に臨む人がいる反面、『これはやりたくない』という基準を設ける人もいます。
“消去法”で仕事選びをしてしまう人です。
ブラック企業を恐れ、身を守るために保守的になるのは理解できます。
中には『ホワイト企業ならどこでも良い』という人もいます。

そもそもあなたにとって『ホワイト企業』とはどんな企業でしょうか?

  • 残業(時間外労働)代が出る
  • パワハラがない
  • 有給が取りやすい
  • 飲み会で酒を矯正されない

などでしょうか…。
こう見ると『普通のことを普通にやっている会社』ですよね。
これがホワイト企業の基準となる現状もおかしいですが…
実際、ココをしっかり押さえている企業は数多くあります。

『OB、OGに聞いて雰囲気も良さそうだから間違いない。』

目当てのホワイト企業に内定をもらったら安泰なのか…?

ブラック職種、ブラック部署、ブラック上司…

飲食や下請けSEなど、業界全体がブラック寄りな場合もありますが、そもそも『ホワイトな業界』なんてものは存在しないのです。
研究職や日系メーカーは”ホワイト”と言われやすいですが、三菱電気の件により、これらの情報は全く信頼できないとわかりました。

では…

三菱電気はブラック”企業”なのか?

この点には疑問が残ります。
もちろん、違法残業を放置したのは経営側の責任ですが、会社全体にこのような雰囲気が蔓延していたかどうかは、報道からはわかりません。

『企業全体としてはホワイトでも、部署によっては死ぬほど忙しい』

『以前は良い雰囲気だったのに、上司が変わってから残業代もつけられなくなった…』

こういったトラブルの発端は、”部署”や”上司”など、企業の中の限られた場所です。
上司に口止めされている場合、人事部や経営陣は残業やパワハラの実態を全く知らないことも多いです。

ホワイト企業の中にも”ブラックな領域”が点在していることは少なくありません。

『ホワイト企業内定』を目指す就活は危険!!

”ホワイト企業”なんてものは1人の上司によって壊されるのです。

管理職『お前のチームは残業が多すぎるぞ!』

上司『業務量を減らすと俺の評価が下がる…残業時間を表面上減らすしかない…』

部下『仕事は減らないのに、残業がつけられなくなった…』

よくあるシチュエーションですね。
人を増やしたり、上司のマネジメントスキルでカバーできれば良いですが、結局は『人による』のです。

OB訪問で聞いた実態はホワイト企業そのものだった。

自分のやりたい職種に内定できた。

しかし、入社後にとんでもない上司が就任して一気に環境が変わった…

『ホワイト企業だから』と入社を決めるのはナンセンス。
企業は常に変わっていくのです。

『雇用される側』である以上、職場環境は常に変わるということを頭に入れとかないと危険です!常に様々な選択肢を持とう!

リアルな終身雇用の終焉

『作れば売れる』時代は終え、市場にマッチしないサービスや商品を扱う企業は淘汰されつつあります。
食品メーカーでは食中毒などが起これば、会社の信頼度はガタ落ちです。

『1つの企業に定年まで勤める時代は終わった』

よく言われますが、これは被雇用者視点での話です。

会社視点で見ても、

『社員が定年まで勤めてくれる時代は終わった』

のです。

転職市場は年々活発化し、スキルを磨いてキャリアアップしたり、劣悪な職場環境から『逃げる』ことが以前より簡単になりました。
『転職者』が珍しい目で見られる時代ではありません。

時代遅れな企業が『ブラック』な状態を放置すればするほど、優秀な社員は消えていき、競争力を失っていくのです。

いつでも逃げ出せる状態でいよう

1つの会社にしがみつく時代は終わりつつあります。
現代人のキャリアに必要なのは、常に良い環境を追求していけるサバイバル能力、すなわちスキルアップです。

ポテンシャルだけで転職できるのは20代半ばまでです。
30代を迎えたのに『その会社でしか通用出来ないスキル』しか無い人は、今すぐキャリアを見直しましょう…!

中小、大手に関わらず、過重労働や違法な労働環境がメディアに出やすくなりました。
我々に大事なのは、三菱電気の被害者男性のように勇気を出して『声』を出すことと、いつでもキャリアチェンジできるスキルを身につけることです。

おわりに

新卒で入社した人は、1つの企業しか知らないため、知らず知らずのうちに非常に狭い価値観で働いています。

残業や軽度のパワハラを、

『これも仕事だから仕方ないか…』

と思考停止してはいけません。
20代、30代はもちろん、マネージャー、シニア層の転職市場も広がっています。
IT、WEB業界を中心に、フリーランスなど企業に勤める以外のキャリアもメジャーになりつつあります。

キャリアを守るために大事なのは会社と戦うことではありません。
社員を大事にしない会社に見切りを付けて、より良い環境でキャリアアップしていけるサバイバル能力なのです。

客観的に、自己中に。

クソみたいな会社は『声』を出して、後を濁して飛び立ってやりましょう!
追い込まれて力を失い、泣き寝入りする前に…。

 

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