就活の早期化、長期化が学生生活に与える影響が考慮され、新卒採用の短期決戦化が進んでいます。
書類選考や面接スケジュールがタイトになり、就活前の準備にどれだけ力を入れられるが勝負の分かれ目です。
自己分析を繰り返し、企業研究の鬼となった意識高いクラスタ。
就活の時期だけやたら増える副部長と留学経験者。
面接会場で行われるリア充マウンティング。
茨の道を通り抜け、見事第一志望の企業に内定した学生が皆『理想のキャリア』を築けているのでしょうか…?
甘くない!
入社して3ヶ月も経つと多くの新入社員は、
『人間関係が上司がお局が派閥が上司が上司が上司が先輩が上司が…』
と文句を言っているでしょう。
新卒で入った会社が期待ハズレだった…
そんな時にキャリアプランをどう考えるか。
今回は、新卒という『呪縛』に捉われず、広い視野でキャリアプランを組み立てる方法について解説していきましょう。
Contents
新卒で入社した企業に”染まる”前に…
マイナビの意識調査結果を引用させて頂きます。
引用:2016年卒マイナビ大学生就職意識調査/行きたくない会社(マイナビ)
少し細かいので、大きく描き直すと、
どうやら雰囲気や企業体質、社風に関する項目が多く並んでいますね。ノルマの有無も重要です。
困った事に、これらの多くは『入社してみないとわからない』ことです。
業務内容など、日々の仕事については企業研究である程度想像することができるのですが…。
企業のビジョンや仕事内容が理想通りだとしても、人間関係など、細かい部分でキャリアの歯車は狂っていきます。
私自身、合併を繰り返したメーカーに勤めていた経験がありますが、ルーツが異なる社員同士の『派閥』にウンザリしました。
また、新卒採用では多くの人が『第一志望』とはかけ離れた会社に入社するでしょう。
第一志望ではないけど志望業界に収まった人、業界は違えど志望職種には就けた人、希望とは全く違う企業に入社した人…
多くの人が、少なからず『落胆』を抱えて入社します。
- 落胆を跳ね除けて成果を出し、充実したキャリアを送る
- 諦めから早々ニルヴァーナに達し、社畜として割り切ったキャリアを送る
自分の会社しか見えていない人は、この2パターンに分かれるでしょう。
理想を描いて入社した会社がブラック企業で涙が止まらない人もいるかもしれません。
プロパー社員(中途ではなく、新卒からずっと同じ会社にいる人)は自社の価値観が全てと勘違いしがちです。
例えば、ブラック企業にいる人は、企業という存在全てに幻滅してしまうことが多いです。その結果、限界まで働いた後、スキルも無いのにフリーになってみたり、無鉄砲に起業してみたり…
大きな仕事を任されつつも、サポート体制や労働環境もしっかりしており、ホッカホカの福利厚生に囲まれた企業も多数あるという事実を知らないからです。
転職という選択肢。
『気に入らなかったらさっさと会社を変えよう』と安易に勧めているわけではありません。
『日本に企業は山ほどあり、中途入社のチャンスもある』という視点を持っているだけで、キャリアプランの幅は一気に広がるのです。
中途採用は新卒よりもハードルが低い!?
大学を卒業した瞬間『学歴』は無意味になる
周りを見れば東大東大京大東大。
地方国立のワイ涙目!
入社早々『学閥』にウンザリしている新入社員も多いかもしれません。
しかし、転職市場という広い目で見れば、『学歴』は何の役にも立ちません。
入社した瞬間から、あなたの企業人としての価値はスキルと実績、そして人間性で評価されるようになります。
新卒採用で大きな足かせ、あるいは大きな武器となっていた学歴が取っ払われ、真の実力で勝負できる環境に様変わりするのです。
私は新卒で日系大手メーカーに研究として入社しましたが、メーカーの研究開発職では、新卒では有名大学の理系院卒以外は足切りされることが多いです。
しかし、中途採用では学歴は関係ありません。
ライバルメーカーから転職してきた人が中堅私大の学部卒だったこともありました。もちろん、前職で優れた実績を出していた人です。
こう見ると、新卒の『学歴フィルター』が少しバカバカしく思えてきますね。
中小企業から大手企業が当たり前の転職市場
大企業から中小企業への転職に関して言えば、ハードルは非常に低いです。
学歴ならぬ『社歴』という言葉もありますが、学歴ほどイビツな評価基準ではありません。
単純に、大企業のスケールで大金を動かし、スキルを身につけてきた人間は、中小企業にとって喉から手が出るほど欲しい人材です。
(大企業にあぐらをかいて自己啓発を怠った人間は敬遠されます)
とはいえ、中小企業から大企業への流れもハードルが高いわけではありません。
中小企業勤務で転職市場で強い人に共通しているキーワードが『スキルの幅』です。
基本的に、社員数が多く組織化された大企業では、職種ごとに一定の業務範囲で動きます。
しかし、中小企業では一つの仕事に専念させる余裕がなく、社員に多様な仕事を任すことが多いです。
研究職が生産管理まで担当したり、営業職がマーケティングまで担当することもあります。
大手企業の基礎研究の部署に、研究から工業化まで担当できる人間が入って来れば大きな戦力となりますよね。
『スキルの幅』は転職市場で大きな強みになるのです。
中途採用では自社に足りない人材を採用します。
中小企業と大企業、スペシャリストとゼネラリスト、様々な人材がどこかで必要とされていますよ。
ポテンシャルと即戦力
20代転職歴無しの正社員は、転職活動では引く手数多です。
簡単に言うとヌルゲーです。
一番お金がかかる導入研修が終わり、ある程度ビジネススキルも身につけた20代の若手…
他社(他業界)での経験という自社にない視野を持ちつつ、まだ何にも染まりきっていない…
企業にとっては魅力しかない人材です。ウチにも欲しい!
ここでは『ポテンシャル採用』と『即戦力採用』という2つの指標を覚えておきましょう。
第二新卒などの若手ではポテンシャル重視です。十分なスキルや実績が無くても、仕事のスタンスやビジネスマナー、前職で培った考え方など、基本的なビジネススキルだけである程度戦えます。
ただし、30歳を過ぎると即戦力要素が強くなってきます。
十分な実績とスキルが無いと書類選考でサヨウナラです。
以下のグラフをご覧ください。
一般的に、20代中盤ではポテンシャル8に対し即戦力スキル2、30代中盤ではポテンシャル2に対し即戦力スキル8で評価されると言われています。
ポテンシャル採用の求人は、
『化成品の開発に3年以上携わった人間』
『法人営業(業種問わず)に2年以上従事』
など、条件が緩いことが特徴です。
中途採用の基礎知識に関する記事でも書いていますが、転職活動を進めながら『求人を判断する目』も養いましょう。
充実したキャリアの近道は、今の会社を『利用』すること
『実績』があなたの武器になる
今の会社で上を目指すにしろ、転職して別の企業でのキャリアを求めるにしろ、今の会社で実績を残す事がキャリアアップの唯一の方法です。
正攻法。
王道。
基本に忠実。
裏技なし。
そして裏切らない!
- 自分の担当商品をいくら売ってきた
- 工場で何千万のコストダウンをしてきた
- 論文を何報書いてきた
定量的にインパクトのある実績を残せれば、他業種でも他職種でも確実に評価されます。
ただし、社内で出世するための実績と、転職市場で評価される実績は少し異なります。
現職で上を目指す場合、ゴマを擦って得た評価や、他人の実績のおこぼれで出世することも可能です。
転職市場ではあなた自身が生んだ実績で勝負しないといけません。
単純に言うと『いくら金を稼げるか』です。
そして、このような転職市場で評価される実績は自社でも評価されます。
身にならない上っ面の実績で出世を目指すか…
社内外で評価される本物の実績を目指すか…
リスクのないキャリアプランはどちらでしょうか。
『入手可能スキル』の感度を上げよう
中小企業は『スキルの幅』で勝負と言いました。
転職市場で大企業出身者と争う時に、仕事のスケール(金額)では太刀打ちできません。
売上が数千億の大企業で1000万円のコストメリットを出すのは簡単ですが、売上数十億の中小企業では抜本的な改革が必要です。
中小企業からキャリアアップ転職を目指す人は、金額以外で勝負できる実績やスキルが必要なのです。
資格補助、研修、通信教育制度など利用出来る制度は全て利用してやりましょう。
この手の補助は、共有されていないことも多く、多くの社員が見落としています。
私が転職を決めたきっかけは、
『今の職場で得られる能力はだいたい盗んだな』
『給料の数倍は会社に貢献したな』
という実感が得られたからでもあります。
営業、経理、マーケティング、研究、開発、生産…
今の職場の『入手可能スキル』は残っていないか、アンテナを張っておきましょう。
おわりに
会社が嫌になったら転職しよう。
それでも良いでしょう。
もし、メンタルを崩すような環境なら、壊れる前に逃げるのが得策です。
ただ、少しの人間関係、少しのギャップで安易に環境を変えるのはオススメしません。
キャリアも悪い方向に動きがちです。
会社が期待外れなら、会社を思い切り利用して、金を稼いで、能力を身に付けて、そして思い切りキャリアアップして去っていくのも悪くないですよ。
就活は多くの学生にとって一大イベントです。人生を賭けてる人もいます。
そんな学生たちに少しだけ肩の力を抜いてもらうため『新卒で入った会社が期待外れでも、いつだって挽回できる』ということを書いてみました。
客観的に、広い視野で。
これがキャリア形成の答えです。
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