工場勤務したことない研究職はオワコン!今すぐ視野を広げよう

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研究職の皆さんは『実績』についてどう考えているでしょうか。

ー 新しい技術を開発した

ー 学術論文が掲載された

などなど、研究成果の形は様々です。

仕事の特性上、研究職は一定の成果を出し続けることが難しい職種です。
基礎研究にあたる領域では、数年スパンで研究を続けることもあり、創薬等の分野ではさらに長くなります。数年かけた研究が無意味になることも日常茶飯事です。

研究職短期間で実績を上げづらいことに加え、キャリア形成においては、成果や実績が『見えづらい』ことがネックとなります。

研究職が社内での昇進、あるいは転職市場でキャリアアップを目指す場合、実績のアピール方法を工夫しないと埋もれてしまいます。

今回は、研究に関わる人間が、キャリア形成の上でどのように『実績』を積み上げていくべきか解説していきます。

研究職の『実績』とは

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メーカーに限らず、企業に勤めていれば、評価面談が半期に1回、少なくとも年1回はあるはずです。
評価シートなどに自分の実績を記入し、良い評価を得るために自分の成果をアピールします。転職活動と一緒ですね。

さて、 研究開発職の皆さんは、実績欄をどう書いているでしょうか?

  • ある植物に含まれる新規有用物質を発見し、健康機能を証明した。
  • 従来の数倍以上の精度で有害物質を分析できる技術を確立した。
  • 生物から抽出していた化合物を合成する方法を解明した。

直属の上司や技術系出身の役員などは、これらの成果をしっかりと評価してくれるでしょう。
研究の難易度や有用性を理解できているからです。

しかし、営業や開発、生産現場など、『利益に直結する』部署で働いている人からは、

『それってすごいの?』

と思われることも少なくありません。
物を売る営業、人気商品を開発、生産する現場の人たちは、お金に直結しない研究の仕事を理解してくれないことが多いのです。

『俺らがアイツらを食わしてやってるんだ。』

という態度をとる人も少なくありません。
こういう人も視野が狭いのですが…。

とはいえ、研究職にとって『専門外に成果をわかりやすく伝えるスキル』はキャリアアップには不可欠です。
視野が狭くなりがちな研究職では苦手な方が多いスキルです。

『コストメリット』で見られる実績

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メーカーは『ものづくり』によってお金を儲ける企業です。

その中で、研究職の仕事は『利益につながる新しい発見』を見出すことです。
ラボで新規有用物質の合成方法を構築したり、より高精度な成分分析方法を考案したり、美味しいヨーグルトを作ってくれる乳酸菌をスクリーニングしたりなど…アプローチは様々です。

しかし、これらの成果は製造現場のスケールでコストメリットを出せるように導入できなければ無意味です。
この『コストメリット』というところが重要!

最先端をいく製品の製造工程を確立したとしても、出来高が少なければ、製造原価は高くなってしまいます。
高精度の分析機器を導入すれば、不良品の発生率が1%から0.1%に下がるかもしれません。しかし、その機器が数千万、数億した場合、何年でペイできるでしょうか。
メーカーで働く以上、研究開発職に限らず、技術系の人間は、製造現場のこと、そしてコストメリットを常に頭に入れないといけません。

”解明した”

”発見した”

”構築した”

これらの単語をいくら並べても、専門外の人間は『ふーん…』としか思いません。

具体性を持たせるために

”20%改善した”

”以前の6倍の速度になった”

”35の物質を、新規に合成できるようになった”

など数値を入れるのは良い方法です。しかし、これでもまだ弱い。  

実績をアピールする上で『数値を入れて具体的に』という点は間違いありません。
しかし、これではまだ 『ふーん…』 から 『へぇ、それって凄いの?』 に変わっただけです。

結局、万人に評価されるには

”いくらのコストメリットを生み出したのか”

”その実績には何円の価値があるのか”

を追求していくことが必要です。

社内でも、転職市場でも、
『あなたを雇って私の会社はどのくらい儲かるんですか?』
という評価軸で上手にアピールできれば最強!自分の仕事を正当に評価してもらうためにも、お金のことはシビアに考えていきましょう

”工業化研究”という狙い目業務

”いくらのコストメリットを生み出したのか”

これを追求できるのが『工業化研究』というジャンルです。
『生産技術』『応用研究』を担う部署で取り組んでいる場合が多いです。
呼び方や担当部署は様々ですが、キーワードは『生産現場を重視した研究』です。

こういった生産現場に近い仕事は、研究職であっても実績として非常に評価されやすいのです。
工業化研究は、ラボスケールでの試作結果を現場スケールに落とし込むことや、生産性を向上するために製造工程を改善することが仕事です。
私も、食品の製造ライン立上げや、工程改善、コストダウン業務に携わったことがあります。製造の立ち上げは非常にタフな仕事です。

これらの職種で実績を出しやすい理由は、基礎研究よりも仕事が簡単だからではありません。
それなりのスケールの製造ラインであれば、何千、何億のお金が動くわけで、非常に大きなプレッシャーに晒されます。試運転の時は夜遅くまで現場に残ることもあります。

実績を挙げやすい理由は、仕事が簡単だからではなく『成果がわかりやすい』からです。

例えば、

  • 当社で扱っている微生物は、◆◆という酵素によって健康効果を持つ物質を生産していることを解明した。
  • 新たな培地組成によって、微生物の物質生産能力を35%向上できた。

と比較して、

  • 製造工程に新たな設備を導入し、出来高を8%向上させ、少ない回数で指定数量を製造できるようになり、年間5,000万円のコストダウンに繋げた。
  • 新商品の製造ラインを立ち上げ、年間3,000t(5億円の売り上げに相当)の製造が可能となった。

では、どちらの方が、成果が『わかりやすい』でしょうか?
圧倒的に後者ですよね。

工業化研究では、コストや出来高が絶対的な評価基準になります。
評価=コストメリットなので、専門外から見ても非常に評価しやすいのです。

基礎研究一筋だと実績のアピールは難しい…

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キャリアアップを目指す上で、工業化研究のメリットを書きましたが、そもそも基礎研究が圧倒的に成果をアピールしづらいことが問題です。

“何円のセールスを達成した”と書ける営業…
“何円売り上げる商品を開発した”と書ける商品開発…

その反面、研究職、特に基礎研究に携わる人は、実績を『何円』で表すのが難しい仕事です。
直属の上司など、同じ業界の人なら良いのですが、転職市場など他業界、畑違いの人に評価してもらいたい場合は大きなハードルになります。

また、基礎研究が数年スパンの仕事も多いのに対し、生産現場ではそのような仕事はありえません。この点も『評価されやすさ』に大きく関わります。
基礎研究を始めて半年で明確な結果なんて中々出せませんからね。
数年後の新商品、新技術のためにも、基礎研究はとても重要なのですが…

結局、社内でも転職市場でも、サラリーマンは『お金』に食いつくのです。

工場を知らない研究職はオワコン

基礎研究1本のでキャリアを考えてるとしても、生産現場での業務経験はもはや必須です。

元々センスがあり、最初から生産現場や販売まで視野に入れて基礎研究に取り組めるなら問題ありません。
しかし、基礎領域の研究者の多くは、目の前の研究に捉われて、生産者、販売者としての視点が欠けています。

そのため、

『現場の事も理解している視野の広い研究者』

この評価を得られた研究職は、社内でも転職市場でも間違いなく評価されます。

私自身、基礎研究から製造工程の現場導入まで経験しましたが、転職エージェントや面接官にものすごく高い評価を頂けました。

『なかなか、現場まで考えられる人はいないんだよね』

このセリフを基礎研究の採用面接で言われたのです。

基礎研究から生産現場に異動してしまう場合、飛ばされた…なんて嘆く人もいます。確かに、好きな実験だけに取り組めていれば幸せかもしれません。

しかし、現場で『お金』を生む実績をあげれば間違いなくスキルとして認められます。
その経験は社内でも、転職市場でも、研究職としてキャリアアップを目指すための非常に強い武器となります。

企業によっては、研究費が潤沢で基礎研究に対する社員の評価も高い場合もあります。
しかし、評価されている研究者は間違いなく『ものづくり』の視点を持っています。

工場という『実績の山』に飛び込んでみませんか?

キャリアの停滞を打開するターニングポイントになりますよ。

 

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